2020年9月

2020.9.27多摩高の小会議室2において、役員11名が参加し、同窓会役員会が行われました。
※役員会決定事項は別途

冒頭に、野田学校長から、学校説明会で配布されている資料をもとに、多摩高の状況について、ご説明いただきました。

まず、今年度の多摩高行事について
体育祭は格闘技系の種目を減らして実施。
合唱コンクール、文化祭は、新しい多摩高文化的行事として、文化部とクラスの発表を行う。(10/5 カルッツ川崎で実施)大師競歩は中止とのこと。

続いて、学校説明会では、
多摩高といえば、スーパーサイエンスハイスクール指定校、理系教育進学校、学力向上進学重点校エントリー校ですが、「欲張りな学校」と紹介しているとのこと。
・勉学も学校行事も、部活動も
・文系も・理系も
・施設も機会も
・仲間も先輩も教師も  

具体的には、
国公立大学、難関私立大学現役合格者数は年々増加。言わずもがな行事の多摩。
ダンスドリル部、ギターアンサンブル部、合唱部などの上部大会出場。
国立大学受験を支える5教科型カリキュラム。文系理系の垣根なく経験値をあげる。
新校舎、グラウンド整備、国際交流。
生徒指導体制、学習・進路支援体制  をご説明いただきました。

新しい試みとして、9/25からチューター制度がはじまり、62期(大学1年生)の先輩7名がチューターとして、毎週月曜、水曜、金曜 16:10~18:30学習や進路に悩んでいる人の相談にのっているそうです。

野田先生 お休みのところ、説明にお越しいただきありがとうございました。













 
 虫の鳴き声も夏のセミから秋のコオロギに移り変わる季節になりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて、2組の幹事会では第16回同期会について協議をかさねてまいりましたが、今年の同期会は残念ですが1年延期とすることに決定しました。
新型コロナは依然としておさまりをみせず、行政も高齢者の会食は自粛するようにとの話もあり、同期会の延期はやむを得ないものと思います。喜寿の会が来年になってしまいましたが皆様方は今後もお体をご自愛され来年の同期会には多数のご参加をお待ちしております。
 
なお、第16回同期会の幹事は2組の担当となっておりますので来年も引き続き2組の担当とさせていただきます。
来年の同期会の日程が決まりましたら改めてご案内致しますのでよろしくお願い申し上げます。
 
幹事  2組(旧姓)
代表 渋谷 鋼太郎
青嶋 菊江(都倉)
岡本 法子(榎田)
奥山 房江
下平 公子(小山)
清水 妙子(松本)
同窓会報誌vol.26(2020年8月配布)に掲載された内容です。

特別座談会企画
―大学教員(卒業生)による多摩高校2年生への講義(専門分野)を終えてー(2019.11.14)


出席者
谷川章雄 早稲田大学教授(14期)
奥村晃博 昭和音楽大学教授(15期)
椎名 茂 慶應義塾大学招待教授(25期)
小林 至 桜美林大学教授(28期)
篠田英明 東京外国語大学教授(29期)
西田 究 東京大学地震研究所准教授(34期)
福田敏人 多摩高校学校長
安部卓見 同窓会事務局長(司会・9期)
柴野澄子 同窓会事務局員(記録・24期)




◆座談会の開催にあたり
安部 座談会を開催するにいたった経緯についてご説明いたします。
本年5月、母校から同窓会に講師推薦依頼がありました。11月に実施する「高校2年生への大学の先生による出張講義」を担当する卒業生の推薦依頼です。
多摩高同窓会は、会員同士の親睦交流を深め、母校の発展に寄与することを目的として活動していることから、卒業生(教授・准教授)の専門分野をリサーチし、学校が希望する講義内容とのすり合わせを何度も行いました。そして6名の方々に依頼をしたところ、有難いことに全員のご快諾をいただき、本日の出張講義が実現した次第です。
せっかくの機会ですから、本日の講義の内容などお聞かせいただきたく座談会を行うことといたしました。



福田 本日はありがとうございました。
教育推進校の指定を受けています。平成28年度から県立高校改革実施計画に取り組んでおり、多摩高校は神奈川県教育委員会から学力向上進学重点校のエントリー校(当初17校)の指定と理数教育推進校(当初5校)の指定を受けています。  
横浜翠嵐、柏陽、湘南、厚木の4校はすでに学力向上進学重点校の指定を受けており、多摩高校も次期の指定を目指して授業改善など県教育委員会が掲げる指標をクリアすべく努力しているところです。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/prs/r5753403.html
 
理数教育推進校というのは、目標のひとつがスーパーサイエンスハイスクール(SSH)になることで、こちらに関しては、平成31年4月に文部科学省の指定を受けることができました。
私は、私立中・高の出身ですが、中学校3年間担任であった榊原滋先生をはじめ、元多摩高校教諭であった3人の先生の御指導をうけた経験があるため、多摩高に着任した時は、とても喜ばしく、運命を感じており、多摩高校のために頑張っている次第です。

安部 本日の大学の先生による出張講義の趣旨についてご説明をお願いいたします。
福田 多くの生徒が関心をもっている分野の先生をお招きして、講義をお願いしています。生徒は2つの講義が聴けるように希望をとっています。自身の将来の目標をみつけたり、学びに対する意欲を高めることを目的に毎年行っています。
その中で多摩高の卒業生、先輩に教えていただくということは、多摩高校の歴史と伝統というものを直接感じることができるとても良い刺激になる機会だと考えています。
 

◆講師の自己紹介
安部 それでは、講師の先生方の自己紹介をお願いします。
西田 稲田中学出身、合唱部でした。1992年4月、東京工業大学理学部地球惑星科学科が創設された年に入学し、おもしろそうだと思い専攻しました。専門としては、地震学です。途中から東京大学の地震研究所にうつり学位を取得しました。地震学といっても、災害の地震ではなく大気や海洋が起こす現象、どのように固体地球を揺すっているかに関しての研究をしています。
おかげさまで、2016年2月に日本学術振興会賞・日本学士院学術奨励賞を受賞しました
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/2016/02/26/



 
谷川 生田中学出身です。14期です。(入学した1969年は、多摩高では理科棟封鎖が起った年です)卒業後、早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修に入学し、考古学を学び、文学部の大学院を経て、1987年に早稲田大学人間科学部創設時に教員になり、現在にいたります。
私は考古学の中でも江戸時代、近世の考古学を30年以上研究していまして、昔はマイナーでしたが、徐々に学界でも認められてきております。現在、東京ではオリンピック前、再開発の発掘調査が盛んに行われておりますので、発掘現場に足を運んだりしております。



小林 南生田中学出身、野球部でした。卒業後、東京大学入学し、六大学野球を経験。ロッテ・オリオンズ(現、千葉ロッテマリーンズ)の練習生を経て正式入団しました。3年間のプロ野球選手生活を終えた後、米国コロンビア大学にてMBAを取得。帰国後、参議院選挙に出馬、2002 年より江戸川大学助教授、2006年より教授となりました。また、孫正義氏との縁により2005年から2014年までの 10年間、福岡ソフトバンクホークスの取締役として、球団経営に携わってきました。
研究分野は、スポーツマネジメントで、江戸川大学、立命館大学、桜美林大学、テンプル大学、サイバー大学、テンプル大学の客員教授も務めております。今年の1月に早稲田大学スポーツ科学博士号も取得しました。



椎名 宮崎中学出身です。当時の宮崎中は15クラスもあり、校内暴力で荒れていました。多摩高は平穏な感じでよかったです。多摩高では、当時、「おたまじゃくし」と言った軽音楽部に所属していました。
同じ「おたまじゃくし」の一期上、24期の小早川氏(現、東京電力ホールディングス代表取締役社長)ともバンドを組んでいました。小早川氏の学生時代の自由な生活ぶりを知っているだけに、現在の大企業の社長ぶりには、驚いています。慶應義塾大学の理工学部卒業後、大学院はニューヨーク大学へ。米国で就職したかったのですが、当時のどん底の不景気でそれはかなわず、帰国し、NEC中央研究所に勤務。そこで、人工知能の研究をしました。その後、コンサルタント会社に転職後、PwCの代表取締役社長、KPMGコンサルティング 副社長をつとめております。
慶應義塾先端科学技術研究センター、AIセンターを創設する際に産学連携をアドバイスし、対象企業をコーディネートしたりしているうちに、訪問教授(客員教授)となることになりました。
昨年の同窓会報誌に寄稿することになり、事務局長の安部さんと飲む機会に「慶応義塾大学の教授になりました」と報告したら、じゃあ、今回の特別授業の講師になってほしいということになりました。
今でも本業はコンサルです。慶應義塾大学の方は、週1回の授業とAIセンターの運営に携わっています。



安部 同窓会報に多摩高在学当時の思い出として、多摩川を歩いて渡って、川向こうの販売機でジュースを買って、また川を歩いて帰ってきたエピソードを披露していただきました。
椎名 当時は本当に自由な学校ですから、授業の思い出はないです。多摩高は本当に自由で良かったです。
小林 人生で多摩高時代が1番自由な時間でした。部活動以外は何の制約もない時間でした。
椎名 私は、部活動が「おたまじゃくし(軽音楽)」ですから、部活動の制約がなく、全く自由な時間でした。
小林 多摩高は、教養を身に付けるところであり、受験対策をしたければ予備校など学外でどうぞという認識を先生も生徒も持っていたように思います。
3年時は、授業に出席するのは推薦入試で合格した数人だけ。その方々が全員分の(出席を)代返していました。もう35年前の話ですから、罰せられることはないですね(笑)。
安部 先日、椎名さんの25期同期会に参加させていただいた折、卒業生の大学教授として、母校で特別講師をすると話したところ、恩師が「あの椎名さんが・・・」と感慨ぶかげでした。
椎名 同期会で仲間に「サラリーマンをしている」と報告するとビックリされますが、学校の授業だと、朝、起きられなくても仕事となるとまじめにできるのです。
多摩高って自由な環境の中でも何かを学ばせてくれるところです。自分で自分の道を判断しなさいということですね。
欠席日数が多かったのですが、内申書には、担任の先生が「虚弱体質」と書いてフォローしてくれました。本当にいい学校でした。
今は、進路指導室という赤本(過去問)がたくさんおいてある部屋もあり、熱心に進路指導もしているときいて、びっくりしました。



奥村 生田中学出身です。多摩高卒業後、東京藝術大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻に進学しました。とにかく高校時代は、1日8時間以上、ピアノ練習に明け暮れる日々なので、部活動は入らなかったです。そんなに練習に没頭できたのも多摩高の自由な校風のおかげだったと思います。今、考えてみれば、もっと(日本史を)勉強したかったなと思うことはあります。専攻がピアノなので、世界史(ヨーロッパ史)は西洋音楽などで勉強しましたから。卒業後は、シューベルト研究に没頭し、声楽専攻の妻と一緒に、ある意味楽しんでおります。昭和音楽大学には20代のころから務めておりますので、昭和音楽大学一筋で40年以上、がんばっております。(10年前にも多摩高で授業をした記憶があります。)他の高校にもよく出張授業に行きます。個性のある学校、おとなしい学校いろいろな学校がありますね。
多摩高は、「自分でやって、自分で責任をとる。自主性を重んじる」それがいいところですね。
安部 昭和音楽大学には、多摩高32期の福本信太郎准教授もいらっしゃいますね。
奥村 福本先生は、とても優秀で昭和音楽大学でサクソフォーン・指揮を研究分野にしております。サクソフォーンの演奏もすばらしいのですが、指揮者としての統率力、厳しい指導で有名で学生たちのレベルアップをはかっています。昭和音大の管楽器を担っている存在です。多摩高吹奏楽部にもコンクール前に指導したりしております。

篠田 29期生です。私も多摩高時代には「おたまじゃくし」に入っていました。同期にミュージシャンになった小沢健二がいました。彼は突出した才能を持っていて、強い影響を受けました。自分は音楽と全然関係のない仕事につこうということで、国際政治を専門にする学者になりました。
 大学で早稲田の政治に行き、大学院ではロンドン大学のLondon School of Economics and Political Science (LSE)でPh.D.をとりました。大佛次郎論壇賞、サントリー学芸賞、読売吉野作造賞などをいただき、今はそれなりに広範な執筆活動もやっていますが、もともとは世界の武力紛争と国際的な平和活動の研究を専門にしています。外務省委託事業で国連職員を養成するための事業「平和構築のための人材育成事業」の実施責任者を12年以上務めるなどの実務系の仕事もやっています。
 
 
 
◆講義内容と受講生の反応
安部 次に本日の講義内容と受講した高校2年生の様子などについてお話ください。
西田 普段、大学院生以上にしか教えていないので、悩んだのですが、一般向けの講演の内容にしました。地震計のデータをもってきて、早回しにして、音にして聞いてどういうものだろうということ生徒に聞いていって、いろいろ考えてみましょうという授業をしました。地震計というと皆さん普通の地震を想像すると思いますが、例えば、サッカーの国際試合での地面の揺れを取り上げました。カメルーン代表がゴールしたときのカメルーン国内の地震計の記録を見せ、多くの人が自宅で喜んで飛び跳ねた結果、国全体が実際に揺れていることを見せました。また、くじらの鳴き声を地震計がとらえて、生態を調べるということです。



地震学というテーマの講義なので、学生としては、想像していたものと違ったのかもしれません。こちらとしては、率直な感想とかリアクションを期待していたのですが、まじめに聞いてもらえただけで、大きなリアクションはなかったので、自分としては、もう少し違うアプローチ、準備もできたかなと考えているところです。質問はこちらから、聞くとありますが、自ら手をあげる生徒はいませんでした。もう少し受講生が多いと、もっと、活気のある授業になるかもしれないですし、事前に具体的に聞きたい内容のリクエストをいただければ、応じることもできると思います。生徒は今日の講義を進路として検討しているということで選んでいるのでしょうか?
福田 進路というよりは、関心があるという内容を選んでいると思います。
安部 講義の後、廊下を歩きながら、質問を受けられたりしているのをお見うけしました。
西田 限られた時間ですので、なるべく、生徒と会話しようと努めました。
想定内のレスポンスはありました。突拍子もないことを言い出してくる学生はいませんでした。



谷川 文京区に江戸時代の切支丹屋敷があったのですが、その場所を発掘調査していたら、18世紀の初めに日本にきたイタリア人宣教師のシドッチの墓がみつかったというお話をしました。
知り合いの人類学者を呼んでDNA分析したら、イタリア人だということがわかりました。切支丹屋敷に葬られたイタリア人は記録では、シドッチしかいないのですが、発掘された墓をどのようにしてシドッチのものだと結論づけたか、DNA分析、骨の特徴や身長の分析、さらに記録を調べて、シドッチだという結論にいたった道筋を話しました。それからシドッチの頭蓋骨から行った復顔も紹介しました。
当時の幕政の実力者、新井白石は、シドッチから得たヨーロッパの知識から日本は遅れているということを悟った。その後、吉宗の時期に漢訳の洋書の輸入を積極的にすすめたことが蘭学、洋学の基礎となっています。その入り口となったのがシドッチの尋問をした新井白石の考え方であったといわれています。シドッチは、使用人夫婦にたいして布教した罪で牢にいれられて、死にいたりますが、墓は切支丹の葬法を採用したということは、シドッチをリスペクトしていたということの表れであるというお話をしました。
受講生からは、とても良い質問がありました。
「発掘をしてから、その事実をつめるまでに何年かかりましたか?」 また、
「キリスト教徒が殉教していることがわかっているのに、なぜシドッチは日本にきたのか?」
なかなか良い質問で、多摩高生は、優秀だなぁと思いました。
頭蓋骨が残っていたので、復顔もしました。
考古学は発掘、発見自体よりは論理を組み立てて結論づけていく面白さがあるという話をしました。



小林 講義の内容は、まず母校に思うところを述べました。その後、専門分野であるスポーツ産業について、成長産業であること、どのような商品があるのか、ビジネスモデルについて解説しました。学生の反応ですが、1組目は、ほぼ無反応。もっとも日本では大学生もほぼ無反応ですから慣れていますが。2組目は「100憶ドル、1ドル100円だといくら?」と質問したら、「1兆円」とすぐに答えたのです。さすが多摩高生と思いました。というのも、この質問、ほとんどの大学生が答えられませんから。
安部 今の若者は、プレゼン能力に長けているともききますので、質問など活発にする生徒が多いのかなと思いましたが、無反応な場合もあるということですね。
福田 先生に失礼があってはいけないと、いろんな気遣いから、質問もしないようにする生徒が多いのでしょうかね。
小林 今の生徒は我々の頃に比べると真面目で進化していると思います。わたしが学生だった頃、先生に失礼かどうかなんてほとんど考えたことありませんでした。野球が生活の中心で、一年生の頃は野球部のしごきがひどくて、しょっちゅう学校を休んでいました。上級生になると今度は、授業中は部室でゴロゴロしていたりして、欠席したりしていました。



椎名 人工知能AIの話なのですが、一般向けのセミナーのさわりの部分をわかりやくお話ししました。また、どういう場面に使われているか説明し、皆さんだったらどういう場面に使うかを考えてもらいました。お互い考えた内容を数名同士でディスカッションさせて発表するという形式にしました。一方的に聞くと、ほぼ寝ちゃいますからね。最後に「自己責任がすごく重要な学校だよ」というのを後輩へのメッセージとして、説明しました。「自己責任」というキーワードのパワーポイントの資料を1枚用意して説明しました。生徒の反応は、最初に、「授業に参加するということは、質問をするということだよ」とプッシュして、「要するに授業でわからないこと、疑問に思ったことを教師に聞くということをモチベーションにしないと、授業に参加したことにならないよ」「1人1個質問を考えてくださいね」と最初にいいました。「特に大学に行ったら、もっとそういう意識をもってやらないと授業がとことんつまらなくなるよ」とも。それでも、授業の最後に質問は?と聞いたら、質問はなかったです。でも、授業が終わると近寄ってきて質問する生徒がいました。今、大人向けのセミナーでも同様ですね。みんなの前で質問するのは、はずかしいのでしょうか。
安部 60周年記念式典の時に多摩高27期森川氏(C Channel社長、元LINE社長)の講演の話で、イスラエルの母親は子供が学校から帰宅すると「今日は先生にいくつ質問した?」と聞くと。起業が盛んなイスラエルのように、自らが積極的に動くこと、先生も学校も活用していくポジティブな生き方が重要だという話でした。多摩高の入試には、面接試験もあるので、プレゼンも上手な生徒が多いと思いますが、やはり授業となるとむずかしいのでしょうか。
小林 これからの社会で大事なのは問題発見能力だと思います。要するにネタを見つけること、面白そうなこと、疑問に思ったこと、不思議に思ったこと、話せるネタ、いずれにしても問題発見能力が重要だと思います。今まで問題を解決の方法を教わってきましたが、これからは、問題解決はAIがやってくれる時代になるでしょう。人間の能力は問題発見に集約されることになってきます。多摩高生は優秀でしょうが、問題発見能力というものはまだまだむずかしいと思います。
福田 今、多摩高ではSSHの指定を受け、生徒による主体的な探究活動、課題発見に取り組んでもらっております。
小林 極端な話、制服、通学も自主性にまかせてみてはいかがでしょう。多摩高はエリート集団なのですから。学校や授業を強制し、一律のことをやらせていたら、問題発見能力は高まらないのではないでしょうか。
安部 野球では、チームで同じユニフォームをきていますが。
小林 野球はある種、受け身型の人間をつくるスポーツです。バント、走塁、監督の指示により動くわけですから、旧日本型のスポーツですね。
多摩高の自主性を重んじる良さを伸ばしていかないと、多摩高の人気がなくなってしまうのではないでしょうか。
福田 おっしゃるとおり、多摩高生の問題発見能力を高めるため、探究活動に取り組んでもらっています。主体性のある優秀な生徒が多摩高に来てくれるようにと願い、頑張っています。
多摩高は開校当初から、湘南高校をめざしていたと聞いていま
す。「西の湘南、東の多摩」と言われるような学校づくりを目指す。湘南高校も自主性を重んじていますから、多摩高も同じような校風を目指してきたことが多摩高らしさにつながってきていると思います。



奥村 ピアノが専門ですが、歴史とからめた授業にしてみました。グレゴリオ聖歌、宗教改革のヤン・フス、ルターなどの話をしました。

多摩高生はすごいなと思ったのは、カッチーニのアヴェ・マリアの楽譜を配布し、初見で歌ってといったら、ちゃんと歌っていました。みんな小さい声だと嫌だなと思っていましたが、大きな声で歌ってくれてよかったです。
音楽を勉強するには、歴史と地理も勉強しないと音楽を理解できないし、18世紀後半のベートーベンの時代以前はキリスト教と宮廷、教会とは切り離すことはできないという話をしました。歴史の話が多くなり、もう少し、音楽、ピアノ演奏が聴きたかった生徒もいるかもしれません。初見でアヴェ・マリアが歌えるというのは、多摩高生は優秀ですよ。多摩高は、意外と東京芸術大学に進学する人が多いんです。

篠田 大学の学部生向けにやっている「国際政治概論」と「紛争解決論」の授業スライドを見せて、「大学では授業はこんな感じ」、ということはやりました。ただ、今日は卒業生というステータスで来させてもらいましたので、できる限り対話に時間を使わせてもらいました。私の専門は「平和構築」という分野です。なぜ紛争が起こったのか、何が問題だったのか、という分析から始めて、その問題分析に対応した政策を見出し、評価していくのが、基本作業になります。開発援助や人道援助の活動の立案実施も同じですね。生徒さんから、スーパーサイエンス・ハイスクールでも問題解決型の学習が推奨されているとか、NGOの活動に関心があるといったことを教えてもらいました。問題発見・分析・解決のプロセスは、まあ、そもそも大人が真剣にやって泣いたり笑ったりしている事柄ですから、今日何かを体系的に教えた、ということはありません。ただ、「重要だよ」、ということは伝える内容になりました。




小林 多摩高は自由な校風、先生と生徒の垣根もひくかったですね。
安部 30期代はいかがでしたか?
西田 高校時代は、合唱部の思い出が一番です。理系の先生でおもしろい授業をする先生が何人かいました。今となってみれば、大学の授業の内容を高校の授業でやっているので9割の生徒はついていけず不評なのですが私にとっては面白い授業でした。そういう意味では、先生も自由な多摩高だったのかもしれないですね
小林 世界史の先生で「スパルタカスの反乱」に授業の半年をついやした先生もいました。先生の詳しい分野か興味のある分野だったのでしょうね。
西田 先生はわからないことを質問すると教えてくれました。質問しないと教えてくれないです。当たり前のことです。
小林 多摩高は公立中学、県立高校にくる子、規則に縛られてきたいい子がほとんどなのですから、高校で自由を覚えるということは大事なことだったなと思います。
椎名 受験制度があると、自由な校風ばかりでは、難しいですよね。
谷川 私のいる学部では、学生の出身高校を評価する際に、進学実績だけではなく、その高校出身の学生が大学時代にどういう成績をおさめたかも重視しています。大学生にもなれば自主性はあたり前ですが、高校時代から、自主性を重んじている学校の生徒は、大学でも伸びる傾向にあります。
逆に学校がお尻をたたいて、勉強をやらせるような高校の生徒は、伸びない。
福田 私どもも高校の勉強は大学に入るためにやっているのではないということを常に話しています。センター入試は5教科9科目あるのですが、最終的に私立大学に入るための入学試験には必要ないかもしれないが、将来のために勉強するのだと話しています。
谷川 われわれの時代には、地理の年間研究レポートというものがありました。1年生で400字詰め原稿用紙10枚のレポートを書くのは大変でしたが面白かった。多摩高20期の池俊介教授(早稲田大学)は多摩高の地理の授業を題材に論文も書かれています。その後の自身の研究に影響を与えた授業だったのだと語っています。
 

◆多摩高生へのアドバイス
安部 それでは最後に多摩高時代に習得しておくべきことを多摩高生にむけてお話ください。
奥村 自分で目標を決めて、人間は頑張れる時間は限られています。人によって、それが高校時代であったり、大学時代、また卒業後の社会人生活であったり、様々です。
自分で目標を決めて責任をもって頑張ることです。教師や学校のせいにしないことです。
椎名 授業の中でも言ったのですが、多摩高は相当自由な学校です。すべてにおいて、自己責任で考えて行動してくれといいました。考えているだけでは終わってしまうので、行動することと言いました。最後に、アラン・ケイというコンピュータの父と言われる人が言った言葉で「(未来は予測するものではない)未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」
要するに自分でつくりだせば、それが未来になるのです。新しいことをトライしてやってみよう!
小林 うさんくさい、いかがわしいは誉め言葉と思え。孫正義さんがいつも人は、自分が他人にどうみられるかを気にしすぎている。他人からうさんくさい、いかがわしいと思われるほどのことをどんどんやってみよう。それは誉め言葉なのです。
 
谷川 シンプルに言えば、好きなことを一生懸命やってください。10代の後半は感性がものすごくシャープなので、それを自覚し、かつ物事を深く考えてほしいです。
私がなしえなかったことばかりですが。
西田 自分の高校時代は、色々と悩みの多い時期でした。時間も十分にあるので、いっぱい悩んでいっぱい考えてください。
篠田 同じですね。悩みを持つこと。それに尽きるのでは。悩みを通じて、自分の能力の限界を痛感しつつ、同時に、それでもやってみたいことについて考えることができるようになるのでは。高校時代には決して答えは出ないでしょう。そこが辛いところ。しかし高校時代に悩んだ基盤がなければ、大人になって前に進んでいくことができません。
安部 本日はお忙しい中、先生方、福田校長先生、大変ありがとうござました。








 

令和2年度は新型コロナウィルス感染拡大防止のため、毎年5月に開催していた幹事会は開催せず、書面・WEB使用による表決をいたしました。
多摩高校同窓会活動事業計画、収支計画書を掲載しました。(2020.9.11)

令和3年度も前年同様に幹事会は開催せず、書面・WEB使用による表決をいたしました。
事業活動報告書、収支報告書、貸借対照表、監査報告書を掲載しました。(2021.7.25)


 事業計画

 事業活動報告

 収支計画書

 収支報告書

 貸借対照表、監査報告書





 

事業報告、決算報告は、毎年5月開催の幹事会で承認いただいておりましたが、令和2年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響で幹事会が開催できず、書面・WEB使用による表決で承認をいただきました。

多摩高校同窓会事業活動報告書、収支報告書、貸借対照表、監査報告書を掲載しました。(2020.9.11)

なお、活動事業計画、収支計画書は、2019.5.26 に掲載しております。(2019.5.26)



 事業計画

 事業活動報告

 収支計画書

 収支報告書

 貸借対照表、監査報告書



写真は、2019.05.26に行われた幹事会の写真です。

同窓会長ご挨拶(2020)

2020年09月11日(金) | コメント(0)
 
困難を乗り越えて            

  殿川一郎(16期)    

 会員の皆様の日頃のご協力、ご支援に厚く感謝申し上げます。
 本年に入り、新型コロナウィルス感染が世界的な規模で拡大し、日本でも多くの方々が亡くなられ、経済社会活動にも著しい停滞をもたらしました。会員の皆様のほとんどがこれにより何らかの影響受けられたのではないかと存じます。大きな被害を受けられた方には衷心からお見舞いを申し上げます。
 
  母校においては多くの他の学校と同様長期にわたる休業を余儀なくされましたが、現在、様々な工夫をしながら、昨年指定を受けたSSHの取組を始めとする教育活動を推進されているものと拝察致します。次代を担う若い生徒の皆さんがこうした困難な時期を逞しく乗り越え成長されることを心から願うところであります。
  私どもの同窓会活動も、総会、各期の同窓会が中止・延期等になりましたが、春の幹事会は始めて「書面・WEB」という方式で開催させていただきました。これからも安全・安心面に充分配意しつつ試行錯誤しながらの取組みが必要と考えております。
 
  新たな日常、生活様式が求められ、人の集い方も変わらざるを得ないと言われています。しかし、どの様な状況になっても、人と人との出会い、絆の大切さ、ともに青春の時を過ごした心のふるさとの尊さに変わりはないと存じます。その意味で、同じ多摩高で育った同窓生の親睦を深め、母校を支援することを目的とする同窓会の役割には今後とも大きなものがあると思います。
  会員の皆様には、引き続き同窓会活動へのご協力、会費の納入などによるご支援をよろしくお願い申し上げます。
 
 様々な面でまだまだ不透明な情勢が続くと思われますが、コロナ禍に負けることなく、ご一緒にこの困難な時期をあせらずひるまず乗り越えて参りましょう。

2020年9月9日、多摩高の体育祭が行われました。

新型コロナウイルス感染拡大を考慮し、騎馬戦、棒倒しは中止し、新種目に変更するなど創意工夫のなか実施されました。

総合結果は、
1位 夏組 
2位 春組
3位 秋組
4位 冬組 となりました!

本年度は、合唱コンクール(別行事として検討)、大師強歩も中止が決定しておりますので、3年生にとってこの体育祭は思い出深い行事となったことでしょう。

多摩高同窓会から審査員として、安部事務局長が列席しました。




 


9月8日、殿川同窓会長から野田校長先生に、全国大会出場などした部活動へのお祝い金の贈呈を行いました。
 
今年は、新型コロナウイルス感染拡大に配慮し異例づくめです。例年は卒業式終了後に各部代表に贈呈しておりましたが、昨年度は生徒のみの卒業式となったため、贈呈が年度を越えることとなりました。また、贈呈も各部活動代表者へではなく、校長先生に一括贈呈となりました。

各部の活躍を期待したいところですが、残念ながら、ほとんどの大会が中止となっているようです。今後の活動資金としてお役立ていただけたら、幸いです。
先般案内を差し上げた「卒業50年を祝う会」(2020年11月8日開催予定)ですが、新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、大変残念ですが一年延期することと致しました。「卒業51年を祝う会」や「古希を祝う会」となっても必ず開催します。とりあえず来年11月に元気にお会い出来ればと思っています。開催する場合には改めてメール・ハガキにてお知らせ致します。
 

日時 令和3年(2021年)11月7日(日) 13時受付 17時閉会
会場 ホテルKSP 3F KSPホール
会費 8,000円
問い合わせ わり館044-733-6108 西田又は富田まで
以上
会報誌26号 P10 「50期同期会」の写真掲載に誤りがございました。
 
ここに謹んで訂正し、お詫び申し上げます。