OB・OG会

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高校野球部のOB大会と母校の評判

高校野球部のOB大会と母校の評判

最近、母校の高校野球部OB会主催の野球大会があり、日ごろの運動不足解消の気持ちもあって参加し、いい汗を流した。集まったのは高校を卒業してからまだ数年の大学生から、60年の歴史がある野球部3期生の70歳を超える大先輩までさまざまな年代の50人余りが集まったが、やはり高校時代に真剣かつ夢中になって白球を追った面々なので、OB野球といってもかなりレベルが高いのに驚いた。

草野球ながら、正式の審判を付けた試合だったこともあり、3チームに分かれて行われた試合はいずれも僅差のスコア。投打だけでなく、守備、走塁で随所に好プレーが見られ、ベンチで見ていても緊迫した試合展開に目が離せなかった。

筆者にとっては、1972年(昭和47年)春の卒業以来、本当に久しぶりに訪ねた母校だったので、グラウンドを離れて閑散とした校舎や中庭を見学してみた。学校創立から60年がたっているため、40年以上前の高校生時代に比べ、やはり建物、施設の老朽化を感じた。白亜の2階建て校舎は耐震上の問題があるということで、建て替え工事が行われていた。

熱戦ぞろいの野球の試合を終え、夕刻、近くの懇親会の会場に向かう途中、5年ほど後輩のS君から最近の母校の評判を聞くことができた。S君には大学生の子供がいるので、現在の大学受験事情に通じていて、進学校でもある公立の母校の評判が中学生の受験生やその親の間では「昔ほどは高くないのですよ」と話していたのに少しばかり驚いた。その理由は、建物の老朽化と高校での進学指導がそれほど熱心ではないので、受験生の親が自分の子供を私立の進学校に行かせる傾向が強まっているのだという。

母校の校訓は「質実剛健」。その校訓通り、現在もそうだろうが、筆者の高校生時代は、部活動や体育祭、文化祭といった生徒の自主性に任せた勉強以外の活動が盛んで、それに熱中するあまり、受験勉強の開始が遅れ、大学受験では1年浪人してでも、自分の行きたい大学に進学するという同級生、生徒が多かった。昔はそれが当たり前と思われていたのだが、「近年の経済情勢もあり、子供を浪人させる余裕がないという家庭が増えている」というのがベテランの電通マン、S君の見立てだった。

そういえば、現在の大学受験予備校は昔と違って、現役高校生の合格実績をPRしているケースが圧倒的に多い。筆者の高校時代、予備校はもっぱら浪人生のためにあったもので、現役合格のために予備校や塾に通っていた友人を知らない。

懇親会は昼間の熱戦を酒の肴に大いに盛り上がった。たまたまその場に駆けつけた高校同窓会のA会長(5年先輩)にS君との会話を紹介すると、「若いころの1年、2年の遅れは長い人生からみて、どうということはないんですけどね」と感想を語った後、「高校時代に野球に全力投球して得られることは、この日のOB野球や懇親会での先輩、後輩の交流などにうかがえるように、人生では大変貴重に思いますね」と話した。高校時代に庭球部を中途退部した同窓会会長の思いにわが意を強くした。(T・I)

 
神奈川県立多摩高校野球部 部史 (創部60周年記念事業)より転載
 






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